近年、急成長を遂げたカルビーの看板商品「フルグラ」。ただ、足元では売り上げが鈍化傾向にあり、伊藤新CEOの下でさまざまな手を打っていく方針だ(撮影:今井康一)

カルビーの国内事業の売上高は、スナックが8割を占める。そのスナックに次ぐ第2の柱として育成しているのがシリアルの「フルグラ」だ。

同社がシリアル事業に参入したのは1989年。しばらくは売上高30億円弱で横ばいの状態が続いていたが、2009年に会長兼CEOに就任した松本晃氏の目に留まったことが転機になる。「シリアルなんて、と思って食べてみたらやたらとうまい。これは売れると確信した」(松本氏)。

“朝食革命”を掲げて、コメ、パンに次ぐ第3の朝食としてアピールし始めた2012年ごろから躍進が始まる。2016年度には国内で300億円近い売り上げを記録。ヨーグルトや牛乳との食べ合わせを提案し、時短につながる朝食として単身者や共働き世帯の間で広がっていった。

販売拡大の背景には、同時期に急増した訪日中国人観光客の間でフルグラが人気になったこともある。実際、日本で買い占めたフルグラを中国の非正規ルートで転売する業者も出始めた。規制強化によって転売業者は撤退したものの、2017年からは中国人観光客に人気の高い観光地である京都と北海道に工場を建設するなど、EC(ネット販売)を通じた輸出を本格化させている。

順調に売り上げを伸ばしてきたフルグラだが、足元ではその勢いが失速気味だ。2017年度の売上高は前期比9.7%減の263億円。国内ではブームが落ち着いたことで顧客層が広がりきらなかったほか、中国では転売されていた分をECで補えなかった。社内からは「(中国での販売が)期待外れだった」という声も聞こえてくる。

業績を牽引してきたフルグラ再成長に向けてどう取り組んでいくのか。社長兼CEOの伊藤秀二氏に今後の戦略を聞いた。

ポテチで言えば「うすしお味」がなかった

──フルグラの成長が鈍化していることをどうとらえていますか。

これまでのような急激な伸びが止まってしまったのは事実だ。ただ、決して成長が終わったわけではない。以前、社会人向け大学院で講義をした際に学生に聞いてみたところ、日常的に食べている人の多くは女性。男性は、フルグラという名前は知っているが食べたことがないという答えがほとんどだった。これからの成長は男性にいかに食べてもらうかに懸かっている。

──男性に対して、具体的にどうアプローチしますか。

1つは、“食事のベース”になるように改良していくことだ。男性の中にも、食べていたのにやめてしまった人たちがいる。その理由の多くは「甘すぎる」こと。フルグラは(国内外で)年間300億円近く売れる一方、ベーシックな商品ではないことが課題だった。もっと甘さを抑えないと、日常食としては浸透しない。ポテトチップスで言えば、うすしお味がなくてコンソメパンチ味だけで勝負していたようなものだ。

そのために、ドライフルーツを抜いた「マイグラ」という商品も発売している。白いご飯や食パンが朝食として浸透した理由の1つは、おかずや味を自在にアレンジできるから。フルグラも、そのポジションを狙っていく。

小容量品を強化していくことも重要だ。特に単身世帯では、現在主流の800グラムのパッケージでは食べきれずに離れてしまった方が多い。1食分で50グラム容量の商品も投入しているが、認知度はまだ低い。これまでできていなかった生活スタイルに合わせた商品展開を図っていく。

──朝食シーンにこだわった訴求が大事ということですか。

朝食だけにこだわる必要はない。たとえば、バータイプなどにして車の中や出先で食べられるような商品も開発していく。2014年にフルグラを大きめに固めた一口サイズの商品を発売したことがあった。技術的な問題もありすぐにやめてしまったが、売れ行きは悪くなかった。

もちろん、朝食市場は深掘りし続ける。多くの単身の若年層男性にとって、朝にフルグラを食べるためのヨーグルトを夜に買っておくというのは面倒だ。だからコンビニでサンドイッチやおにぎりを買うほうに流れてしまう。バーなどを開発すれば、さらに手軽な朝食として訴求することもできる。

まずは単独で中国市場を開拓する

──2017年8月からは、越境ECを中心に中国へのフルグラの輸出を本格化させていますが、売上高は期待外れだったという声もあります。