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『誰のために法は生まれた』 『事業創造』『コンフィデンシャル あの会社の真実』ほか

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誰のために法は生まれた
誰のために法は生まれた(木庭 顕 著/朝日出版社/1850円+税/398ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
こば・あきら●東京大学名誉教授。専門はローマ法。1951年生まれ。東京大学法学部卒業。著書に『政治の成立』『デモクラシーの古典的基礎』『法存立の歴史的基盤』『ローマ法案内』『現代日本法へのカタバシス』『憲法9条へのカタバシス』など。

生徒の状況理解力と先生の応答能力に感銘

評者 兵庫県立大学大学院客員教授 中沢孝夫

横浜市の桐蔭学園中学・高校の生徒たちと、法学者との対話の記録である。対話の素材は、古今東西の「物語」と日本の裁判所の判決文だ。

まず評者が驚いたのは、参加している生徒たちの感受性と反応の素晴らしさである。

溝口健二監督の『近松物語』。イタリア映画の『自転車泥棒』。ローマ喜劇の「カシーナ」「ルデンス」。ギリシャ悲劇の「アンティゴーネ」「フィロクテーテース」。それぞれの作品は、ストーリーが難解ということはないが、幾つものエピソードがあって、そこに見逃せない含意がある。

たとえば、『近松物語』の最後で、姦通罪により刑場に向かって引き回される男女の、晴れ晴れとした笑顔の意味にたどりつく中高生と先生のやり取りは読んでいて楽しい。それは『自転車泥棒』やギリシャ悲劇の理解も同様だ。世間には徒党を組み我欲を通す人たちと、いつも“にもかかわらず”「義」を通す人たちがいることがわかる。

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