小欄第89回で「元号」の問題を書いてみて、どうもひっかかるところが残った。「生前退位」である。何度聞いても違和感があることばであって、駄文では通じやすいだろうと思って使ってはみたものの、どうにもなじまない。

短く「退位」「譲位」といっては、どうしていけないのか。位を退くのも、譲るのも、生前の在位中・存命中でなくてはかなわない。生前に退位するのはあたりまえ、以前の小欄でも書いた「京都府京都市」と同じくらい、くどい重複である。

使いたくなる言い分は、わからないわけではない。現行は一世一元制、天皇の地位も終身になっていて、退位・譲位は制度上ありえないから、特別だというニュアンスをきわだたせるためなのは、容易に想像がつく。

「君位は終身制ではない」