慶応義塾大学医学部 専任講師 伊東大介
いとう・だいすけ●1967年生まれ。慶応義塾大学医学部卒業。2006年から現職。著書に『認知症 専門医が教える最新事情』(講談社)。(撮影:梅谷秀司)

Q. 認知症とはどのような状態なのか?

記憶力や判断力などの知的能力が何らかの原因で低下し、しだいに悪化して仕事や日常生活に支障を来した状態のこと。認知症の最初の主な症状は物忘れで、それがどんどん進行し、軽度認知障害(MCI、認知症予備軍)といわれる状態を経て、認知症になる場合がある。進行速度は緩やかなものから急激なものまでさまざまだ。

軽度認知障害は、同世代の人と比べ記憶障害が目立つが日常生活には支障がない状態で、日本では65歳以上の約13%がこれに当たるとされる。うち5年で半分が認知症となるが、中には進行しない人もいる。

認知症の症状には中核症状と周辺症状(BPSD)がある。中核症状は認知症の症状そのもので、記憶力が低下する記憶障害、自分の置かれている状況がわからなくなる見当識障害が中心。遂行・実行機能の低下や理解・判断力の低下もある。最終的には身体的機能も低下する。

周辺症状は認知機能障害に伴って生じる精神症状で、興奮や妄想、意欲がなくなったり、うつ状態になったりなどがある。

物忘れは年を取ると誰でも経験するし、早い人だと40代から目立ってくる。認知症とは異なる加齢による物忘れは、たとえば1年前に旅行に行ったことは覚えているが、旅先の夕飯で何を食べたかは思い出せないというもの。ヒントを出すと思い出せるようなら、それは心配のいらない物忘れだ。これが認知症による物忘れなら、旅行の記憶が丸ごと抜けてしまっている。

物忘れには認知症とその心配のないものがある(イラスト:河南好美)

Q. 主な認知症の種類と特徴、それぞれの原因は?

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