週刊東洋経済 2018年10/13号
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団塊の世代全員が、75歳以上の後期高齢者となる2025年。厚生労働省の推計によれば、認知症の高齢者(65歳以上)は約700万人となる。認知症予備軍に当たる軽度認知障害(MCI)の人は12年時点で約400万人。この予備軍まで含めると、確実に1000万人は超えるとみられ、高齢者の3人に1人となる。

80代後半の2人に1人が認知症と推計されることからわかるとおり、認知症の最大の原因は加齢だ。年齢を重ねるほど発症リスクは高まるため、すでに超高齢化社会の日本では、誰もがなりうると考えたほうがいい。

「認知症になったら何もかもおしまいだとは思わないでほしい」。3年前、63歳で若年性アルツハイマー型認知症と診断された神矢努さんは話す。「なっても人生は終わらないし、支えてくれる仲間もたくさんいる。認知症になっても私は私。自分のことは自分で決めたい」。

国家戦略でも本人の視点を重視

神矢さんのような認知症の本人が体験や思いを語れるようになったのはここ数年のことだ。14年には本人たちが集まり、日本認知症ワーキンググループ(現・一般社団法人日本認知症本人ワーキンググループ)を結成。メンバーの意見を集約し、厚労省に提案したことで、認知症に関する国家戦略「新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)」に、本人の意思の尊重、本人の視点の重視が明記された。

これを受けて、自治体による施策の立案や評価への本人の参画を進める計画が打ち出されるようになった。慶応義塾大学の堀田聰子教授は「本人の視点を柱としたことは前進で、たゆまぬ協働に期待したい」と評価する。

医療や介護の現場でも本人の視点を重視する動きが出始めている。認知症の人が家族を連れてやってくるクリニックができ(→関連記事へ)、認知症の人が一人で外出するのが普通の介護施設もある(→関連記事へ)。介護保険も認知症の人の強い味方だ(→関連記事へ)。もはや認知症は特別なことではなく、普通につき合っていく時代になったといえる。

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