きうち・たかひで●1987年から野村総合研究所所属。日本経済の分析、ドイツ、米国で欧米の経済分析を担当。2004年野村証券に転籍、07年経済調査部長兼チーフエコノミスト。12年7月から17年7月まで日本銀行政策委員会審議委員、この間独自の視点で提案を行う。17年7月から現職。(撮影:尾形文繁)

日本銀行は今年7月末に、YCC(イールドカーブ・コントロール)の下で目標としている、10年物国債金利の変動幅を拡大させるなどの政策変更を発表した。その最大の狙いは、長期金利の緩やかな上昇を促し、金融機関の収益環境を改善させることにあった、と考えられる。

2016年9月のYCC導入以降、日銀は長期国債の買い入れ増加ペースを着実に縮小させてきた。この措置は、買い入れ可能な額の限界に達してしまう、あるいは国債市場の流動性が過度に低下し、いずれは大きな混乱につながるといった事態を避けることを意図したものだ。正式には量的・質的金融緩和の縮小を表明していないので、これは「ステルステーパリング(こっそり進められる買い入れペースの減額)」とも呼ばれる。「事実上の正常化策の第1弾」と位置づけられる。

これに対して、今年7月の措置は、長期金利のゼロ%という誘導目標自体は変えておらず、「ステルス利上げ」とも表現されるような、「事実上の正常化策の第2弾」と考えることができる。