かつて炭坑の街として栄えた福岡県大牟田市は1959年の20.8万人をピークに11.5万人(2018年4月)まで人口が激減。高齢化率(65歳以上の割合)は35.8%と「全国より20年以上先行している」(甲斐茂利副市長)。当然、認知症の高齢者も多い。

そんな大牟田市が認知症の人を施設に閉じ込めるのではなく、地域で支える「自由に徘徊(はいかい)できる街」を目指したのは、今から14年前、04年のことだ。行方不明の認知症の人を街ぐるみで探す模擬訓練を年1回実施。今では全国各地から視察に集まるほどになった。

9月23日の訓練では、行方不明者役の人を中学生が発見した(記事下写真)。

「平田稲子さんですか? バッグを持ちましょうか? 座って話しましょう」。中学3年生の龍昇茉君に話しかけられた行方不明者役の平田さんは「名前を呼んでもらえて、バッグを持ってもらえてうれしかった」と感想を語る。

龍君が大牟田警察署に電話をかけ、発見した場所の近くの公民館で待っていると、わずか数分で2人の警察官がパトカーで駆け付けた。「龍君、偉いね」。警察官が話しかけると、龍君は照れ笑いを浮かべた。「訓練参加は今回が初めて。緊張したし難しいとも感じたが、訓練は大事だなと思った」(龍君)。

行方不明者を30分で発見

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