沼津市のスルガ銀行本社。9月に新体制に移行したが、再建は極めて難しい状況にある(撮影:尾形文繁)

シェアハウス問題に端を発し、次々と不正が発覚したスルガ銀行。個人分野に特化して高収益をたたき出し、金融庁から「地方銀行のモデルケース」とまで称されたが、その実態はあまりにずさんだった。

そうした内実をあらわにしたのが、第三者委員会が9月7日に公表した調査報告書だった。報告書は321ページに及び、不正融資の実態から原因、個々の取締役の責任、対策まで克明に記されている。委員長の中村直人弁護士に問題の真因と学ぶべき教訓を聞いた。

スルガ銀行第三者委員会委員長・弁護士 中村直人
なかむら・なおと●1983年一橋大学卒業。中村・角田・松本法律事務所パートナー。訴訟と会社法が専門。(撮影:田所千代美)

──非常に詳細な報告書を公表されました。調査は順調に進んだのでしょうか?

公表は予定より遅くなった。データ量が膨大で、6月中に終えるつもりだったデジタルフォレンジック調査(パソコンや携帯電話などに残る記録の収集・分析)が8月下旬までかかったためだ。その間に新しい報道が次々出てきて、内容を確認するためにフォレンジックを追加したこともある。

インタビューを拒否する人はいなかったし、岡野(光喜)会長(9月7日退任)には2回面談して、聞くべきことを聞いた。どこまで不正が広がっているのかを調べるために、グループの従業員約3700人全員にアンケート調査も行った。回答をまとめたエクセルの表は約6000ページにも及んだが、どの組織に不正が多かったかなど、実態把握に役立ったと思う。

浮世離れした「殿様」