私が池袋に勤めていたのは、銀行員だった1985年のことだ。外回りと呼ばれる取引先課担当だった私は、池袋西口にある銀行から毎朝、銀行かばんを抱えて、徒歩3分の駐車場にある営業用車両「スバルレックス」に乗るため、街中を歩いた。

池袋駅の北口は飲食店とソープランド、ラブホテルが軒を連ねるちょっと猥雑な雰囲気の街だった。夕方に営業を終えて車両を駐車場に止め、銀行に戻る頃には多くの飲食店が店を開けた。ストリップ小屋の踊り子が、店の入り口から銀行への道を急ぐ私に「おいでおいで」と、なまめかしく手を振っていた光景を今でも思い出す。

池袋は池袋駅を中心とした駅周辺部を指しており、「池袋」という名の街は存在しない。池袋駅はJR山手線・埼京線・湘南新宿ライン、東武東上線、西武池袋線、東京メトロ丸ノ内線・有楽町線・副都心線の8路線が乗り入れる、1日当たり乗降客数262万人を数える大ターミナル駅だ。この駅を囲むように、駅西口一帯の「西池袋」、東口のサンシャイン側の「東池袋」、豊島区役所がある「南池袋」に街が分かれている。