ドイツ人の暴徒が外国人を追い回し、ナチス式敬礼で高々と手を掲げる。ドイツ東部の工業都市ケムニッツで起きた極右の暴動は、明らかに憂慮すべき光景を見せていた。発端は、中東男性二人によるキューバ系ドイツ人の刺殺事件。騒乱の激しさに警察も立ちすくむほかなかった。

だが、これはドイツだけの問題ではない。ケムニッツの暴徒は、米バージニア州シャーロッツビルで昨年暴動を起こしたネオナチや白人至上主義団体「クー・クラックス・クラン」と共通点が多い。双方の町で極右が暴徒化した理由はいろいろとあろうが、その中心に人種差別があるのは間違いない。

米国の、それも特に南部の田舎に住む白人には厳しい生活を強いられている人が多い。学校はすさみ、仕事は劣悪で、経済的にも貧しい。このような白人が自尊心を保つために心の支えとしてきたのが、黒人に対する人種的優越感だった。だが、こうした自尊心も、オバマ氏が黒人初の大統領になったことで激しく傷つけられることになる。そして、白人の間に鬱積した不安感や怒りに付け込むことで大統領にのし上がったのが、トランプ氏だった。