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2019年1月から、相続の法制度が順次変わる。財産(物権、債権)や家族(親族、相続)に関するルールを定めた民法の改正に伴うもので、今年7月に成立した。相続分野に関する改正は1980年以来、約40年ぶりのこと。相続はまさに転換点を迎えている。

目玉は大きく三つある。一つ目が、「配偶者の権利を拡大したこと」(染井さくら法律事務所の岩田修一弁護士)だ。残された妻などが自宅に終身住み続けられる「配偶者居住権」という権利を導入する。さらに婚姻期間が20年以上の夫婦なら、相続人(遺産を受け取る人)で分ける遺産の対象から自宅を外せるようにし「配偶者は生活の基盤を保ちやすくなる」(同)。

二つ目は、義理の両親を介護した際、金銭で報われる点だ。長男の妻などが義父母の介護に尽くしても、相続人ではないため「遺産の取り分を請求する権利がこれまでなかった」(法律事務所おかげさまの外岡潤弁護士)。だが今後は、貢献度に応じて相続人に金銭を請求できるようになる。

三つ目は自筆の遺言書の「形式」と「保管方法」が変わることだ。形式面では「保有している不動産や預貯金、株式を一覧できる財産目録を、パソコンで作れるようになる。従来は手書きでないといけないので高齢者には負担だった」(遠藤家族信託法律事務所の遠藤英嗣弁護士)。

保管面では、法務局で遺言を預かる制度が始まり、改ざんや紛失のおそれがなくなる。自筆証書遺言がより身近になる。

被相続人は平均83歳 高齢化に対応した改正

Y&P法律事務所の平良明久弁護士は、今回の法改正について「高齢化社会に対応したものだ」と指摘する。

相続税の申告・手続きで多数の案件を手掛ける税理士法人レガシィによると、被相続人(亡くなった人)の平均年齢は83歳。残された配偶者も同年代と推測され、相続人の高齢化が見て取れる。

なお厚生労働省の統計によると、80年当時で男性73.35歳、女性78.76歳だった日本人の平均寿命は、17年時点で男性81.09歳、女性87.26歳となった。

17年10月時点で65歳以上人口が総人口に占める割合を指す高齢化率は27.7%だ。今後も高齢化率はさらに高まり、死亡者数が増加していく。相続にかかわる人も当然増えていく。