今年7月、フロリダ州の共和党集会にトランプ氏が登壇。「Q」のサインボードを掲げる集団が現れた(ZUMA Press/アフロ)

「金正恩(キムジョンウン)は米国中央情報局(CIA)が据えた傀儡(かいらい)だ」「トランプ大統領は民主党幹部が仕組む幼児大量誘拐売春をひそかに摘発している」──。ネットで流れるこれら奇怪情報の発信源は、機密情報に触れることのできるトランプ米政権中枢の人物「Q」だという。

Qが漏らす断片情報がさまざまに解釈され、異様な陰謀論にあふれた世界観がトランプ支持者の間に広まっている。Qやその断片情報を解釈するネット上の匿名集団と彼らの世界観を、「Qアノン」と呼ぶ。アノンは匿名という意味の英単語「アノニマス」の略だ。

Qの漏らす「機密情報」がネットに現れたのは昨年10月だが、11月の中間選挙を前にした今、その危険性についての議論が高まっている。トランプ大統領が登場する共和党系選挙集会でQのサインボードを掲げたり、Qマークを印字したTシャツを着たりした支持者の動きが目立ってきたからだ。

Qアノンの特徴はいわゆる「ディープステート(国家内国家)」論だ。クリントン元大統領夫妻やオバマ前大統領ら民主党重鎮、連邦捜査局(FBI)、CIA、ハリウッド、伝統メディア(NYTやWPやCNN)、官僚たちが秘密結社を作って児童誘拐や売春を世界で展開しており、その背後にユダヤ系財閥がいる、と彼らは信じる。