もりた・ちょうたろう●慶応義塾大学経済学部卒業。日興リサーチセンター、日興ソロモン・スミス・バーニー証券、ドイツ証券、バークレイズ証券を経て2013年8月から現職。日本国債市場での経験は通算で20年超。グローバルな経済、財政政策の分析などマクロ的アプローチに特色。(撮影:大澤 誠)

7月末に日本銀行は、10年国債金利のゼロ%という誘導目標は変えず、変動レンジを従来のマイナス0.1~プラス0.1%程度から2倍に拡大させると決定した。このとき、国債市場の機能度を高めることで現行の金融緩和政策の持続性を強めるのが目的だと説明された。しかし、それから2カ月近くが経って、長期金利は再び上下数ベーシスポイント(100分の1%単位)の非常に狭いレンジでの推移となっており、国債市場の機能度が高まっているとはとてもいえない状況である。

国債金利の「変動幅」が小さくなってきた理由は、基本的には、①国債需給が引き締まっている、②海外金利など外部環境の変化も乏しい、という二つである。

しかし、①の需給要因にしても、ただ日銀の買い入れ額が大きいというだけでは説明できなくなってきている。というのも、日銀の長期国債の買い入れ額はすでに償還を差し引いて年間40兆円弱と、一時期の80兆円から半減しているのである。買い入れが減っても需給状況が変わらないのは、ストック効果が強まっているからだと考えられる。