東京都、墨田区。生鮮スーパー・KASUMI(カスミ)フードスクエアオリナス錦糸町店の売り場に、オレンジ色の枠にはまったタブレット端末(上写真)が複数設置されている。画面からは常時、そばに陳列されている食材を使ったレシピ動画が軽快な音楽とともに流れ、端末の前で足を止める客が少なくなかった。

端末と動画を提供するのは、レシピサービス国内首位のクックパッドだ。2017年12月、流通向け新サービス「cookpad storeTV(クックパッドストアティーヴィー)」を投入。導入店についてはすでに47都道府県を制覇。設置端末数は1万に上る。

同サービスは食品、飲料、調味料などのメーカーから得るタイアップ動画の広告収入で稼ぐ。店側に導入・運用の金銭的負担はない。販促施策に合わせて再生動画を切り替えられる点も店頭スタッフに好評だ。「特売品に動画レシピを掛け合わせると通常の1.5倍は売れる。クックパッドの訴求力は絶大」(冒頭店舗の大信智治店長)。

今年8月末には、同サービスを運営するクックパッド子会社が三菱商事を引受先に40億円規模の第三者割当増資を実施。三菱商事の傘下には食品メーカーとの取引が豊富な卸大手・三菱食品に加え、ライフ、ローソンなどの流通チェーンもある。「売り場デザイン作りやPOS(販売情報管理)関連の施策でも三菱との連携を深めたい」(運営会社の今田敦士社長)。

この動画事業は再成長に向けた最初の布石だ。日本で「レシピ検索=クックパッド」というブランドを築いた同社だが、ここ2年ほどは経営が混乱していた。経営方針をめぐり勃発した“お家騒動”があったためだ。