イラスト:北沢バンビ

相続税においても、あからさまな節税策は見逃さない──。今年4月に実施された2018年度税制改正は、そのような国の姿勢が透けて見える内容だった。相続税を大きく減らすことができる特例の適用条件は厳しくし、一般社団法人を使う課税逃れスキームも潰しにきた。

亡くなった人が自宅や事業所などの敷地に使っていた土地を相続する際、一定の条件を満たしていれば、土地の評価額を大きく減らす特例の適用を受けることができる。「小規模宅地等の特例」というもので、税負担から自宅などを売らざるをえなくなる事態を避けるために設けられている。15年の1年間に6万件超で適用された。

相続税額は大まかにいうと、相続財産の評価額(売買などに用いる時価とは異なる)から控除額を引いた額に税率を掛けて計算する。そのため相続財産である土地の評価額を大きく引き下げられる小規模宅地等の特例の効果は大きい。

親を亡くした子どもが自宅を相続する場合は、基本的に親と同居していたことが条件となる。ただし持ち家でなく賃貸物件に住んでいる子どもであれば、同居していなくても特例の適用が認められる。そのような状態の子どもは「家なき子」と呼ばれてきた。

節税策は、その家なき子を形式的に作り出すことで特例の適用を受けるものだった。持ち家を自らの資産管理会社に譲渡して所有者の名義を変更したり、自分の子どもに贈与したりしていた。