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不公平な遺言は金銭で解決 相続法改正8つの注目点 ⑦最低限の取り分

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イラスト:北沢バンビ

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自分の死後、跡を継ぐ長男がスムーズに会社を経営できるようにしたい──。そういった理由から、父親が「すべての遺産を長男に相続させる」との遺言を残すことがある。しかし、長男以外の家族は遺産がもらえず不公平となる。そういった問題を解決するために、遺言の内容にかかわらず相続人には最低限の取り分が決められている。これを「遺留分」という。

今回の民法改正では遺留分のルールが変わった。長男はほかの家族の取り分を金銭で支払うことになる。

Q. 最低限の取り分(遺留分)は必ずおカネで払うようになったのですか

A まず遺留分にまつわる前提を確認したい。遺言の内容に不公平だと感じた相続人が最低限の取り分を得るには、「遺留分減殺請求」(改正後は遺留分侵害額請求)をする。請求したうえで話し合いがまとまらなかったら、家庭裁判所での調停に持ち込む。調停になりやすいのは、遺産が預貯金などではなく、不動産などの現物だった場合だ。

下図はその例だ。亡くなった父の遺言には、「4000万円の自宅兼店舗を、長男にすべて相続させる」とある。だが、二男は遺留分として1/4を相続する権利を持っている。その結果、法改正前では、自宅兼店舗は「共有状態」となってしまい、長男が3/4、二男が1/4の割合で権利を持つ。

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