東京・神宮前のタケオキクチビル。業績悪化を受け、保有する不動産も切り売りを続けた

8月22日午前。「タケオキクチ」「アンタイトル」などのアパレルブランドを展開するワールドの東京・晴海オフィスに、寺井秀藏会長ほか全取締役が集まった。

東京証券取引所の承認を受けて9月28日に株式を売り出すことを決議すると、会合は15分でお開きに。上場を承認する取締役会としては、今年上場を決めた中で最短だった。

ワールドがMBO(経営陣による自社買収)で上場廃止になったのは2005年。当時、社長だった寺井氏は、短期的な業績の変動に反応しがちな株式市場に「そうとう不満をためていた」(当時を知る関係者)。

長期的な構造改革に取り組むため、役員からの出資と優先株で360億円を調達。借入金を含め、約2200億円で全株を取得し、上場廃止となった。その規模や、ファンドを介さない手法が注目を集め、長くMBOの代表例とされた。

ただ、その後の施策は裏目に出た。寺井氏は開業ラッシュだった郊外型ショッピングセンター(SC)への大量出店に着手。販売員の正社員化を進めたが、ユニクロや海外ファストファッションの台頭などで不採算店舗が急増した。MBOに伴う借入金約1400億円やのれん743億円(07年3月期末)も重荷で、営業利益は低迷した。