『奇跡の本屋をつくりたい』の解説を書いた中島岳志氏に聞く くすみ書房のオヤジが残したもの

✎ 1〜 ✎ 182 ✎ 183 ✎ 184 ✎ 最新
拡大
縮小

資金繰りに窮する日々。それでも、あるべき姿を追い求めて奮闘した、伝説の本屋の記録。

子供たちに読書の世界を “本屋のオヤジのお節介”

奇跡の本屋をつくりたい くすみ書房のオヤジが残したもの
奇跡の本屋をつくりたい くすみ書房のオヤジが残したもの(久住邦晴 著/ミシマ社/1500円+税/203ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──著者の久住邦晴さんの一周忌に、遺稿を基に出版されました。

久住さんは時代と戦ってる人でした。2003年、まず「なぜだ⁉ 売れない文庫フェア」というのを始めた。これは小泉(純一郎元首相)構造改革のど真ん中。札幌も地元の本屋さんや小売店がナショナルチェーンに侵食されていく、弱肉強食、新自由主義の時代でした。その荒波の中で地方とか“小商い”とか、今後大切になっていくものを先取りしようとしていた。

たとえば、新潮文庫は売れてる順にS、A、B、Cとランク分けしていて、1501位~最下位は無印。大型書店はCランクまでは置くけど、無印本は置かないそうです。だったらこの無印本を集めてフェアをやろうじゃないか、と久住さんは考えた。開催中いちばん売れたのが下村湖人の『次郎物語』。だけど大抵の大型店は置いてない。置かないから存在しないことになる、そして本が死んでいく。これに「ちょっと違うよ」という流れを作りたかったのだと思う。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内