9月12日、ロシアのウラジオストクで行われた極東経済フォーラムの席上、ロシアのプーチン大統領が、今年中の日本との平和条約締結を提案した。〈(「今までのアプローチを変えるべきだ」という安倍晋三首相の発言を受けて)シンゾウは正しい。我々は問題を解決し、平和条約を締結したい。/安全保障は重要だ。あなた(司会)が言った(米軍が北方領土に進出する可能性についての)議論もしている。当然、米国のミサイル防衛システムを含む多くの軍事協力について懸念しないわけにはいかない。/シンゾウ・アベは今、アプローチを変えると言った。信じないだろうが、正直に言う。今、思いついた。単純なアイデアだが、まさに今、ここで頭に浮かんだ。/70年間、我々は問題解決に取り組んできた。1956年の日ソ共同宣言は、調印しただけでなく、日本とソ連の双方で批准された。その後、日本は宣言の履行を拒否し、問題は逆戻りした。/シンゾウがアプローチを変えようと提案した。そうしよう。平和条約を結ぼう。今ではないが、年末までに。あらゆる前提条件なしで。/(中略)あらゆる前提条件無しに平和条約を結ぼうという提案は、冗談を言っているのではない。平和条約の中で問題の解決を目指すと書けばいい。いつかできると信じている。〉(9月13日「朝日新聞デジタル」)

日本のマスメディアの報道を見ると、プーチン大統領が突然、北方領土交渉を先送りして、平和条約を締結するという変化球を投げてきたと受け止める内容のものが多いが、それは間違った解釈だと思う。まず、プーチン大統領が「1956年の日ソ共同宣言は、調印しただけでなく、日本とソ連の双方で批准された」と述べていることに注目する必要がある。

日ソ共同宣言の9項には、「日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、両国間に正常な外交関係が回復された後、平和条約の締結に関する交渉を継続することに同意する。/ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国の要望にこたえかつ日本国の利益を考慮して、歯舞(はぼまい)群島及び色丹(しこたん)島を日本国に引き渡すことに同意する。ただし、これらの諸島は、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする」と記されている。