9月6日午前3時7分。北海道胆振(いぶり)地方を襲ったマグニチュード6.7の大地震をきっかけに、北海道全域で「ブラックアウト」(大規模停電)が発生した。大手電力会社の供給エリア全域が停電に見舞われた事態はわが国で初めてだ。停電戸数は約295万戸に達し、地震の被害を受けたエリア以外がほぼ復旧にこぎ着けるまでに、約2日を要した。

日本の電力会社は、緊急時に停電の範囲を最小化する保護システムの開発など、有事に備えて技術力を磨いていた。その結果、停電時間は先進国中でも短く、電力の安定供給能力では世界でもトップクラスだと見なされてきた。それだけにブラックアウトの衝撃は大きく、大手メディアでも「二度と繰り返してはならない」「電力会社の責任は重い」といった論調が見られた。

だが、海外の電力系統に詳しい専門家は、「世界のどの国でも、ブラックアウトは10年に1度など、ある一定確率で発生するとの想定で電力システムが構築されている」(安田陽・京都大学大学院特任教授)と話す。むしろ、日本でこれまで起きなかったこと自体が評価されるべきだという。

安田氏は今回の北海道のケースについて、停電からの復旧が迅速に進んだことを評価している。だが、その一方で、「情報開示への消極的な姿勢」を問題視している。

大規模停電の波及実態 いまだ詳細な公表なし

まず何よりも、停電がどのように北海道全域に広がったのか、その実態が停電発生から2週間近くたった9月19日時点でも明らかにされていない。

大地震発生時、道内では震源地に近い苫東厚真火力発電所1、2、4号機(出力計165万キロワット)のほかに、知内火力発電所1号機(35万キロワット)、伊達火力発電所2号機(35万キロワット)、奈井江火力発電所1号機(17.5万キロワット)が稼働していた。そのうち苫東厚真の3基で道内全体の需要の約半分を賄っていたとみられている。