高コストのリテール部門の変革に向けて各社が手を打ち始めた

個人や中小企業を相手にするリテール部門が苦境に立っている。これは3メガバンクに共通する大きな課題だ。

多くの行員や店舗、大規模なシステムを抱え、コスト高にならざるをえないだけに、リテール部門は成長イメージを描きにくい。だが、同部門は銀行グループにとって礎的な存在だ。顧客と接する最前線の部署で、預金や決済など銀行の基盤となるサービスを提供する。顧客との接点を生かし、新たな形で収益を創出することが欠かせない。

たとえば、三菱UFJフィナンシャル・グループ。今年5月に公表した2020年度までの新中期経営計画で、大幅増益を見込む海外部門や法人部門などとは対照的に、リテール部門の利益は17年度と同じ3600億円にとどまるとの予想を出した。目標数値だけを見れば現状維持だが、大胆なリテール部門の変革に動きだしている。

同社法人・リテール事業本部長の堀直樹専務は「円貨ベースの預金や融資から発生する収益が伸びず、商業銀行のビジネスモデルは限界にきている。カネ余りで『貯蓄から貯蓄』のままなので、思い切って運用に力を入れる。その最たるものがウェルスマネジメント(WM)だ」と、「リテール再構築」を宣言する(記事下囲みインタビュー)。

WMが対象にするのは、保有資産1億円以上の富裕層で、約120万人の顧客だ。「WMは(伝統的に)外資が強い世界で、邦銀がものにできていなかった。企業オーナー向けを中心にしっかりやる。銀行、信託、証券から精鋭を集め、銀信証兼職のチームを作った」(堀専務)と意気込む。