【今週の眼】柳川範之 東京大学大学院教授
やながわ・のりゆき●1963年生まれ。慶応義塾大学通信教育課程卒業。93年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士(東京大学)。東京大学助教授などを経て2011年から現職。主著に『法と企業行動の経済分析』『独学という道もある』など。(撮影:今井康一)

本誌3月3日号でも触れたように、人工知能(AI)やデータ解析の急速な発達を背景に、データ蓄積の重要性が強く認識されるようになってきた。

できるだけ多くのデータを集めるほど、より有効な分析ができるようになることから、この分野ではたくさんデータを集めた企業が有利になる。つまり経済学でいう「規模の経済性」が働く傾向にある。

その結果、米グーグルや米アマゾンなど俗に「GAFA」と呼ばれる世界的プラットフォーム企業が、その蓄積データの大きさゆえに世界を席巻するのではないか、という主張もよく聞かれるようになってきた。

また、中国は国自体の規模も大きいことから、中国市場を相手に取引をする中国企業は、それによって得られる大量のデータを背景に競争優位性を持つのではないかともいわれている。

このような中、日本企業が世界的なデータ蓄積競争にいかに対抗していくかが大きな焦点となってくる。人口が減少していく中、日本市場が世界全体に占めるシェアは残念ながら小さくなっていく。そうであるならば、日本市場を相手にする日本企業は、データ蓄積においてどうしても不利になり、その結果、競争優位性を失うという事態にもなりかねない。したがって、この点についての抜本的な対策が必要になってくる。