7月の金融政策決定会合で物価見通しを引き下げた日銀。それと同時に、金融緩和政策の柔軟化を示唆した(撮影:今井康一)

金融機関の収益を圧迫する日本銀行の非伝統的な金融緩和政策。長期化したこの政策が、方向転換したといえそうだ。

「7月の政策調整は事実上の正常化策だ」。そう語るのは2017年7月まで日銀審議委員を務めた野村総合研究所の木内登英エグゼクティブエコノミストだ。

日銀は7月31日の金融政策決定会合で物価見通しを引き下げた。「展望レポート」で示された20年度の物価上昇率は1.6%。目標の2%には届かない。

それを受けて、日銀は大規模緩和を21年度まで継続するとし、「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」を打ち出した。追加的な措置であるかのような文言とは裏腹に、その中身は政策の柔軟化を図るもので出口を示唆している。

長期金利上昇を容認 大規模緩和の後退か

注目されたのが、長期金利の変動を容認した点だ。日銀は16年9月に導入した「長短金利操作付き量的質的金融緩和(イールドカーブコントロール)」で10年物国債の利回り水準をゼロ%に抑えている。これまでは上下0.1%の変動幅内に収まるように、金額に制限を設けずに国債を買い入れる「指し値オペ」を行ってきたが、今回の修正で「倍程度」(日銀の黒田東彦総裁)、つまり上下0.2%程度までの変動を容認した。この部分だけを取れば金利上昇の許容であり、緩和後退を意味する。