「競争激化のスピードが予想以上に速くなっている」。日本初のLCC(格安航空会社)として2012年に就航したピーチ・アビエーション。今年社員数が1000名を超えた同社を率いる井上慎一CEO(最高経営責任者)は、強い危機感を隠さない。

設立後3年で黒字化し、5年で累積損失を一掃するなど、現在5社ある日系LCCの中でもピーチは群を抜く成長を遂げた。発着枠が豊富で、24時間離着陸が可能な関西国際空港を本拠地に選び、1日当たりの運航本数を極限まで高めることで利益を伸ばしてきた。

だが昨年度、そのピーチの業績に異変が起こった。設立後初めて、減益決算となったのだ。「アジアのLCCが投げ売りをしている」。井上氏が頭を抱えたのは、度を超えた価格競争だった。

短距離は競争が激化 アジアでより遠くへ

訪日外国人数は昨年2800万人を突破。今年も2ケタ増が続く勢いで、そうした訪日客急増の一翼を担うのがLCCだ。現在日本路線を運航するLCCは21社。ピーチの就航以降、倍以上に増えた。6社を擁する韓国のほか、近年は東南アジア勢が猛烈な勢いで日本市場を攻めている。

昨年春にピーチを子会社化したANAホールディングスの片野坂真哉社長は同年秋ごろ、井上氏にある話を持ちかけた。同じくANAHD傘下のLCC、バニラエアとの統合だ。「バニラとともに立ち向かったほうが、規模とスピードでアジア勢に対抗できる。懸念のパイロット・整備士不足への対応にもなる」──。井上氏はANAHDのシナリオに乗り、統合を決めた。両社は19年度末までに統合し、ブランドはピーチに統一する。

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