自民党総裁選に立った2人の候補者(撮影:尾形文繁)

自民党総裁選挙で安倍晋三総裁と石破茂元幹事長が戦っている。安倍氏が圧勝するということで大方の予想は一致。3期目の安倍総裁の下で、政権はどのような業績を残そうとするのか。

選挙戦の中で、安倍首相は憲法改正の発議に積極的な姿勢を示した。憲法改正を実現することこそ、日本の歴史に残る最大の偉業だと考えているのだろう。自民党内で揺るぎない権力を確立し、野党も分裂状態が続く。首相がその気になれば何でもできるように思える。

安倍政権が長期化する中、政治の世界の内外で、権力を批判する牽制作用は著しく弱くなってきている。改憲については公明党が最も有力なブレーキとなることが期待されるが、連立解消も辞さずという不退転の決意で改憲を止めにかかるかどうかは不明である。

改憲の具体的なテーマをこれから議論すれば、来年の通常国会の後半あたりから発議が可能な情勢となるだろう。来年7月に予定される参議院選挙の結果次第では、改憲勢力の議席数が全体の3分の2を割る可能性があることを考えれば、参院選と国民投票を同時に行うという奇策に打って出る可能性もある。改憲の中身にもよるが、安倍政権の下で日本の立憲政体が変更され、議会制や選挙を伴う権威主義的一党支配ができ上がるというのが最悪のシナリオである。

しかし、総裁選で3選を果たした安倍政権は大きく二つの脆弱性を抱え込む危険性がある。第1は、安倍首相の支持基盤がイエスマンだらけの自民党議員の追従という中身のないものとなることだ。石破氏が劣勢に立つことは明らかでありながら、安倍首相とその側近は反主流派の存在自体を許さないといきりたって、力ずくの選挙戦を展開した感がある。