今年2月に運行を開始した京王電鉄の「京王ライナー」(撮影:尾形文繁)

都心に勤務している人が、郊外に家を買うときに気になるのが通勤のしやすさだろう。

満員電車に毎日、長時間乗るのは苦痛だが、最近は追加料金を支払えば朝夕の混雑時でも座れる、いわゆる通勤ライナーを導入する鉄道会社が首都圏で増えている。今年は2月に京王電鉄の「京王ライナー」が運行を開始。3月には西武鉄道の「拝島ライナー」が始動した。今冬には東京急行電鉄も大井町線に有料座席指定サービスを導入する予定だ。

左の表は首都圏の主な通勤ライナーの停車駅を一覧にしたものだ。停車駅を黄色、停車しない主要駅や近隣駅をグレーで色分けした。京浜急行電鉄の「ウィング号」やJR東日本の「湘南ライナー」は川崎、横浜という利用者が多い駅ですら通過する。京王ライナーも調布に止まらない。停車駅が少ない分だけ都心との所要時間が短いというメリットがある。

ただし通勤ライナーといっても、その中身は鉄道会社によってさまざまだ。新宿と箱根、江ノ島などの観光地を結ぶ小田急電鉄の「ロマンスカー」や、都心と成田空港を結ぶ京成電鉄の「スカイライナー」は終日運行している有料特急列車だが、沿線住民の間ではラッシュ時に「座れる通勤列車」として使われている。JR東日本の「ホームライナー千葉」も特急列車の車両を活用したものだ。

特急専用列車を持たない鉄道会社は、通勤列車と兼用できる列車を通勤ライナーとして導入している。とりわけ近年では、昼間の時間帯は横に長いロングシートだが、通勤ライナー使用時は2人掛けクロスシートに転換される車両が増えている。西武鉄道、東京メトロ、東急、横浜高速鉄道の4社の路線にまたがる「S-TRAIN」や京王ライナーがこのタイプだ。

「京王ライナー」の車両は昼間の時間帯は横に長いロングシートだが、通勤ライナー使用時は2人掛けクロスシートに転換(撮影:尾形文繁)

座る位置に関しては京王ライナーなどのような座席指定タイプと、京急ウィング号などのように着席を保証するが座席指定ではないタイプがある。追加料金についても、ロマンスカーのように距離に応じて料金が変わるタイプと、どの距離でも一律300円(ウィング号)や400円(京王ライナー)といった固定タイプがある。

利用状況は各社とも総じて良好だ。2017年度における東武鉄道「TJライナー」の下り列車平均乗車率は87%。この数字には利用が少ない月曜深夜発の列車も含まれており、満席となる列車も多数あるという。京王ライナーも「平日の乗車率は8割程度。0時台の最終列車を除けば9割程度まで高まる」(京王広報)。

都心の物件は高くて手が出ないという人は、通勤ライナーが停車する駅の物件を選んで、座って快適に通勤するという方法も一案だ。

ただし注意点もある。通勤ライナーの運行本数だ。とりわけ朝の通勤時間帯はたくさんの列車が走っており、過密状態。そこへ停車駅の少ない通勤ライナーを入れるのは、鉄道会社にとって至難の業だ。そのためTJライナーは平日下りが13本設定されているのに対し、平日上りは2本にとどまる。京王ライナーは朝の上り列車自体が設定されていない。

ライナー停車駅のほうが前後駅より割安な場合も

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