さまざまな人や部署が協力して仕事を進めるには、チームワークが不可欠。チームの結束や生産性を高めるにグーグルが行っていることを探る(写真:Google)

マーケティングや製品開発と同じように、人事や働き方を「科学」「データ」「数字」の徹底活用でアップデートする──。ネット業界の巨人・米グーグルは長年、専門チーム「ピープルアナリティクス」が率いる形で、人事に関するあらゆる業務、プログラム、プロセスの有効性検証や改善を行ってきた。

グーグルの取り組みから、日本企業は何を学べるのか。働き方の再構築に、科学とデータをどう活用すればいいのか。グーグル・ピープルアナリティクスのシニアマネジャー、キャスリン・ディカス氏に聞く集中連載の2回目は、採用・チーム作りなどにおけるグーグルの具体的アプローチや、グーグルが根源的に重要視している「4つの文化」について取り上げる。

データでわかった面接官の適正人数

──グーグルで「ピープルアナリティクス」のチームが発足して10年が立ちました。この取り組みは、社内でどんな成果を残していますか。

組織の立ち上げからまもない頃は、まず全社に散らばっているあらゆるデータを収集し、チームのリーダーがメンバーの管理に役立てられるよう、把握しやすい形に整えるところから始めた。この部署には何人所属していて、何人辞めていて、そのたびに何人雇っているかといった、本当に基本的な情報の整理からスタートした。

そうしたデータがある程度充実してくると、今度はもっと具体的な課題解決に動き出した。働き方や組織の作り方に関するテーマで、自分たちで仮説を立て、それに沿って実行し、思った通りの答えが出るかを検証する。そのサイクルを回しながら、データドリブンな人事体制の構築を目指してきた。

──実際にどのような仮説検証が行われたのでしょう?

初期のものとしては、採用面接の回数に関する検証がある。当時グーグルでは、採用面接の負担が大きくなっていることが問題になっていた。もし会社に合わない人を雇ってしまったら大変、その人が社内文化に悪影響を与えるかもしれないから気をつけなければ、ということで、できるだけたくさんの面接官を立て、20~30回と面接していた時期もあった。

そこでピープルアナリティクスのチームで、この課題の検証をすることにした。面接官を増やしていったとき、何人以上になると効果が変わらなくなるのか。実際にあらゆるパターンを試した結果、「4人」が上限としてふさわしいとわかった。それ以来、グーグルでは今も一貫して採用面接官は4人という体制を取っている。

最近では、より複雑な問題にアプローチできるようになっている。一つ例を挙げると、高い成果を出すチームを作るには、どのような基準で人を選定すればいいか、というものがあった。定説として、質の高い人たちを、きちんとした組み合わせで集めればいいチームになる、と思っている人は多いのではないか。

ただ、われわれが200以上のチームについていろいろな変数や基準で検証してみると、どういう質の人とか、どういう組み合わせとかではなく、どのようにチームが運営されているかが重要であるとわかった。メンバーに心理的な安心感があるか、リーダーが各メンバーを頼れているか、チーム自体の構造がしっかりしているか。効率的に成果を上げるための要素としては、そうした面のほうが大きいことがわかった。なんとなく信じられてきた”神話”を、データの力で崩した例といえる。

キャスリン・ディカス(Kathryn Dekas)/グーグルの人事関連組織「ピープルアナリティクス」グループ・シニアマネジャー。組織慣行の改善に向け、最先端かつ深層的な研究を導入・実施する社内研究開発ラボ「ピープル・イノベーション・ラボ」を統括。ペンシルバニア大学の経済学および心理学学士号、ミシガン大学で組織論博士号を取得。卒業後に複数社での勤務を経て、2008 年グーグル入社。以来、新人研修・評価・成績管理などのプロジェクトを率いるとともに、グーグルで毎年行われる社内調査 「Googlegeist(グーグルガイスト)」を運営(撮影:梅谷秀司)

データ活用に欠かせない「4つの文化」