長野県上高井郡小布施町は面積19平方キロメートル、人口1万人余りの小さな街だ。街の西側に千曲川が流れ、川に沿うように上信越自動車道や北陸新幹線が走る。

この小さな街は、観光関係者の間では「小布施」と聞いて誰もが知るほどに有名な街となっている。その名声は、街の人々の「よそ者」を受け入れるたぐいまれな気質と、街をよくしていくためにつねに変化と向き合っていこうという柔軟な姿勢の産物といえる。

小布施が観光の街となったきっかけは、幕末の豪商、高井鴻山(こうざん)が当時の一流の文人だった葛飾北斎や佐久間象山らを招き、もてなしたことにさかのぼる。

北斎が晩年の4年間を小布施で過ごしたことから、1976年に同氏を祭った「北斎館」をオープン。さらに街は「日本のあかり博物館」や「現代中国美術館」など12カ所にも及ぶ美術館や博物館を整備し、年間50万~60万人の来観客を数えるに至っている。

このほかにも小布施町は87年に「街並み修景事業」を立ち上げ、街中に点在していた「小布施堂本店」や「桜井甘精堂」などの有力菓子店を集約。観光客が散策しやすいようにした。今でいうコンパクトシティの発想である。

栗の名産地・小布施町では、街並み修景事業の一環で遊歩道「栗の小径」が整備された(©︎HIDEKI NAWATE/SEBUN PHOTO /amanaimages)