2008年のリーマンショックから10年。ブラックマンデー(1987年)、アジア通貨危機(97年)と金融危機はほぼ10年周期で起きている。再来はあるのか。世界が懸念する中、不穏なムードが漂っているのが新興国市場だ。動揺が止まらない。

9月3日、アルゼンチンのマクリ大統領は、輸出税増税や省庁半減など大胆な財政再建策を発表した。通貨暴落を受けての緊急対応だ。マクリ氏は8月29日にIMF(国際通貨基金)に資金援助を要請、6月に設定した緊急融資枠の一部を早期に実施するよう求めた。「そこまで資金が枯渇しているのか」。疑心暗鬼に陥った投資家がペソ売りを加速した。同30日にアルゼンチンの中央銀行が政策金利を15%引き上げ、年60%としたが、同日のペソは前日比1割以上の急落。年初からの下落率は最大で50%に達した。

8月中旬にはトルコリラの暴落もあった。トルコは経常赤字と財政赤字という「双子の赤字」を抱えており、資金引き揚げの対象となりやすい状態にあった。そんな中、米国人牧師の拘束問題をめぐってトランプ米政権がトルコに経済制裁を科した。米国との間の緊張感が高まったことでリラ安が進行。同12日にエルドアン大統領が「金利のわなには落ちない」と発言し、トルコ中央銀行の利上げに否定的な考えをあらためて示したこともあり、13日には1ドル=7.2リラ台と過去最安値を更新した。

ほかの新興国も通貨安に見舞われている。8月末時点の年初来対ドル騰落率でプラスを記録している新興国通貨は、メキシコペソぐらい。背景にあるのはリーマンショック以来10年間で進んだ新興国への資金流入が、足元で進む米国の利上げによって資金流出に転じつつあることだ。

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