ふかみ・とうしゅう●1951年生まれ。同志社大学卒。84年にワールドメイトの前身「コスモコア」を設立。教団代表を務めつつ、芸術、慈善、会社経営などの活動を展開している。
新聞や電車内で一度は彼の奇抜な広告に目を奪われたことがあるだろう。宗教家「深見東州」こと半田晴久氏(67)。実業家(予備校「みすず学苑」や高級時計卸)、シンクタンク理事長、アーティスト、世界ブラインドゴルフ協会総裁として派手な宣伝活動を行う深見氏は、神道系宗教法人「ワールドメイト」の教祖でもある。今年3月25日には、米国のオバマ前大統領を招聘し、会談イベントを開催した。そんな異形の人物、深見氏の実像に迫るべく、東京・西荻窪の事務所を訪れて話を聞いた。(週刊東洋経済2018年9月1日号「宗教 カネと権力」P51インタビューのロングバージョンです)

 

──展開しているビジネスの概要について教えてください。

実業のメインは高級輸入時計卸・小売りで、日本で3番目の時計宝飾店となる。ここだけで年商50億円を超えている。予備校「みすず学苑」や家賃収入も加えると年商は86億円だが、出版業を加えると110億円を超える。その他の事業や公益活動も加えたら、国内で250億円くらい。大企業ではないが、中堅の事業体といったところだ。

──宗教の教祖でありながら、実業家の顔も隠しません。

生きた宗教とは、時代を反映し、同時に時代を超える普遍性があるもの。現代のわれわれは民主主義、自由経済、国際社会の時代に生きている。だから、ワールドメイトの運営は民主的な総代会で決まっていて、支部代表者も選挙で決めている。私が死んでも、存続するようになっている。

国民の8割がサラリーマンやOLなので、私自身もビジネス社会に身を置き、会社経営を続けることにしている。10円のありがたさ、100円の尊さがわかってこそ、ビジネス社会で人が何を求め、何に苦しんでいるのかが肌で感じられる。庶民に寄り添った生きた宗教ができるというわけだ。

そもそも、ワールドメイトは神道をベースにした宗教だ。私も(神道系新宗教の)大本や、世界救世教の信者だった。神道とユダヤ教は現実界に価値を置いている。なりわいが栄え、家庭が栄え、コミュニティが繁栄する、それが神の祝福だと考える。あの世のほうに価値を置く、現世否定型の仏教やキリスト教とは異なっている。

──実業家と宗教家は、ご自身の中では一体なのですか?

いや、予備校で教えているのは普通の受験勉強だし、腕時計の販売事業も宗教とは切り離されている。

一方で私の頭の中では、ビジネスの判断をする際、論理的に考える以上に、天啓を重んじるようにしている、という点はある。たとえば1987年、37歳のときに私はオーストラリア・パースの家具屋を買収した。その後、ヨットのマリーナや観光会社、牧場も買収した。家具屋はその後売却したが、最初の買収では3日くらい悩みに悩んで、神様にも問いかけた。ワールドメイト開祖の植松愛子(橘カオル)先生にも尋ねたら、「(パースとおぼしき)水辺に赤い松が根を張っているのが天然色で見えた。あなたはここに根差すのよ」と言われて吹っ切れた。「おまえが日本の一霊能者で終わるか、世界に仕組する人になるか。二つに一つの分かれ目だ、飛び込め!」という天啓に基づいて、海外に進出した。

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