米アップルの「iPhone」と韓国サムスン電子の「ギャラクシー」。世界2大スマートフォンの両方で主要電池サプライヤーである唯一のメーカーが、電子部品大手TDKの子会社、ATLだ。

ATLは、TDKが2005年に107億円で買収した香港企業。17年度は売上高3700億円、20%弱の営業利益率をたたき出した“ドル箱”事業だ。利益はTDK全体の6割に上る。スマホなどの携帯電話向け電池市場では、2位の韓国サムスンSDIの2倍近い世界トップのシェアを握っている。

収益性でも差は大きい。韓国LG化学の電池事業は、営業利益率が1%にも満たない。サムスンSDIと、村田製作所(17年に旧ソニーの電池事業を買収)に至っては、いずれも営業赤字だ。ATLが巨額投資を要する車載用電池を手掛けていないことを加味しても、強さは明らかだ。

ATLの優位性は何か。電池市場に詳しいテクノ・システム・リサーチの担当者は、「受注した大口顧客の製品がヒットしたことが大きい」と分析する。買収当時、ATLは「iPod」や携帯型DVDプレーヤーなどに電池を供給。その後スマホが普及し、ATLの薄いパウチ型電池(上写真)の需要が急増。iPodで実績があったATLはアップルに認められ、iPhoneに採用。その勢いでサムスンや中国勢にも食い込んだ。TDKは設備投資や生産技術で全面支援した。