週刊東洋経済 2018年9/8号
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入学試験のあり方をめぐって、医学部が揺れている。

東京医科大学が女子受験生や多浪人生の得点を不当に低く加工していた事件は、世の中に大きな衝撃を与えた。8月に記者会見した同大幹部は「この話を聞いたとき驚愕した」と述べた。他大学は一様に「事件の影響はない」とするが、文部科学省は医学部の入試実態について、各大学にヒアリング中。結果次第では2019年以降の入試に影響することもありうる。

イラスト:平戸三平

大学ごとに合格者数を志望者数で割った合格率を男女別に比較してみると、東京医科大よりも男女の合格率の差が大きい大学が複数存在することがわかる(記事下表)。

ただ、各大学とも、患者とコミュニケーションが取れるとか、勉強し続けられる高いモチベーションを持つなど、医師の「適性」を見るべく入試に工夫を凝らす。「受験生を(性差などで)差別はしないが、(適性を見る)評価はする」(私立大幹部)との声もある。男女比で入試の適正さを判断するほど評価は単純ではなさそうだ。

医学部受験界からは、「いくらおカネをかけてもいいから、子どもを医学部へと望む人がいると、それに付け込む人が必ず出る」(医学部受験予備校)との声も上がる。受験予備校に数百万円、私立大医学部に入れて3000万円。家一軒が建つほどの金額をつぎ込んでも子どもを医師にしたい、という医学部熱はいまだ健在だ。

目立つ医師の長時間労働 AI時代の医師像模索も

ただ念願の医師になれば誰もが安泰というわけではない。下図のように、医師の長時間労働は他の職業と比べて顕著。それが女性医師の仕事と子育ての両立を阻んでいる。過酷な労働環境が医療事故を招くケースもあり、働き方改革は待ったなしだ。一方でボリュームゾーンである団塊世代がいなくなれば、医療ニーズはいずれ減る。その結果、厚生労働省の長期予測では、20〜30年代に医師余りになるとの見通しもある。

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