シカゴ大学教授・社会学者 山口一男
やまぐち・かずお●1946年生まれ。71年東大理学部数学科卒、旧総理府統計局入局。81年シカゴ大学社会学博士。米コロンビア大学、米カリフォルニア大学を経て91年から現職。(撮影:梅谷秀司)

「女性医師は男性医師よりも能力的に劣る」というのは偏見にすぎない。女性医師のパフォーマンス(成果)は男性医師に劣らない。

米ハーバード大学の研究者による、「女性内科医による患者の治癒率は男性内科医より高い」という研究結果が最近話題になった。また、女性医師のほうが男性医師より患者の平均満足度も高い。『米国医学雑誌(AJM)』に1992年に載った論文によると、専門別医師数を一定として男性医師が医療過誤で患者から訴えられる率は女性医師の約3倍である。

日本では治療率や患者の満足度などアウトカムではなく労働時間や離職率でパフォーマンスを測るが、それは間違いだ。また、男性医師の長時間労働を前提に「女性医師はアクティビティ(活動量)が劣る」と主張する人がいるが、男性医師の多くは家事や育児をしていない。家事や育児は女性に任せきりで、「女性医師の活動量が劣る」と決め付けるのは不当である。家事と育児の男女での分担バランスをまずは変えるべきだ。

誇張された「離職率の高さ」