とまつ・よしはる●1953年生まれ。慶応義塾大学文学部卒業、ハーバード大学大学院神学校修士課程修了。心光院(東京都港区)住職。浄土宗総合研究所主任研究員。世界仏教徒連盟(WFB)執行役員。(撮影:尾形文繁)

日本の宗教団体は非常に特異な形で発展を遂げてきた。鎌倉時代に伝統仏教の開祖が軒並み権力者から弾圧を受けたのを皮切りに、豊臣、徳川によるキリスト教の弾圧、明治時代の排仏棄釈、戦前はキリスト教や新宗教にも強い弾圧があった。つまり戦後まで、日本には本当の意味での信教の自由はなかったと思う。

日本国憲法では信教の自由、政教分離がうたわれ、個人の人権や自由が最も重視されるようになった。その理念が宗教法人法にも反映されている。その結果、一人ひとりの信教の自由が強く担保されたが、一方では寺院ごとに宗教法人として独立した活動を行うため、一宗派としてのガバナンス(管理)は難しくなってきている。

そのデメリットは働き方や厚生年金加入の問題でも表面化している。宗教界といえども、法令を順守するのは当然だ。昔から寺には長時間の勤めもいとわない文化はあったが、法人化によって変わった。ただ、法人といっても実態は住職と家族でお寺を回しているところがほとんど。檀家に支えられている以上、「弔いは9時から17時までの間でお願いします」とはいかない。病院長が担当医と分担して24時間入院患者に対応するように、檀家の要望を踏まえつつ住職同士が連携するなど、寺院も相互協力して運営していく必要があるだろう。

厚生労働省は、寺院は法人だから厚生年金の加入義務があるというが、先に述べたとおり、ほとんどのお寺は零細企業のようなもの。多くの住職は生涯現役で、むしろ自営業の方の働き方に近い。われわれはそうした実態を踏まえ、日本宗教連盟を通し、厚労省との話し合いを続けている。

世間への説明責任はある