生長の家

都内から山梨県に移転した本部を「森の中のオフィス」と称し、環境重視を鮮明にしている(共同通信社)

2016年6月、翌月に参議院議員選挙を迎えるというタイミングで、ある宗教団体が出した声明が日本の政界と宗教界で話題となった。公称信者数45万人の新宗教団体「生長の家」(本部・山梨県北杜市)が発表した、「今夏の参議院選挙に対する生長の家の方針『与党とその候補者を支持しない』」という文書のことだ。

内容はタイトルどおりで、安倍晋三政権の「立憲主義を軽視」、「福島第一原発事故の惨禍を省みずに原発再稼働を強行」などの姿勢が「私たちの信仰や信念と相容れない」ので、「与党とその候補者を支持しない」ことを「会員・信徒への指針として周知を訴える」という内容だった。なお生長の家は17年10月に行われた衆議院議員選挙の直前にも、同じ趣旨の声明を発表している。

いわゆる左派・リベラル系団体でこのような声明を出したところは少なくなく、内容的にもオリジナリティがあるわけではない。しかし生長の家という団体の来歴を少しでも知る者にとっては衝撃的だった。生長の家の創始者にして初代総裁、谷口雅春氏(1985年没)は生前いわば「右翼の巨魁」視されていた人物で、「天皇国日本」「日の丸か赤旗か」といったスローガンを連呼。組織を自民党とがっちり連携させ、複数の信者を国会に送り込み、「日本会議」の前身組織立ち上げに主体的にかかわるほどの右派だったからだ。