週刊東洋経済 2018年9/1号
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逆風下でもパワーは健在

日本の宗教界が、曲がり角に立っている。

信者数の絶対値は減り続けている。文化庁『宗教年鑑』によれば、国内宗教法人の信者数(公称)の総数は過去10年で12%減った。

人口減少に加えて日本人の宗教離れも影響している。宗教学の泰斗、上智大学教授の島薗進氏はこう指摘する。「集団の時代だった戦後、人は仲間と群れることで自分らしさを見いだした。しかし今は個人化の時代。集団で動くことに積極的ではない」。

近年の伝統宗教の収入推移について、仏教、神道、キリスト教の各主要教派で比較したのが記事下図だ(本部の予算・決算)。キリスト教は信徒数の減少による献金減が、神道は暦やお札の頒布(販売)低迷が収入に響いている。仏教だけは葬儀、墓地経営が高齢化を受け好調、賦課金(ロイヤルティ)収入が伸びた形だが、追い風はいつまでも続かない。

創価学会を筆頭に、戦後に成長してきた新宗教教団も、既存信者の高齢化に直面する一方、若年層の取り込みに苦戦する。

そんな時代に生まれた「2世信者」は、親が信仰する新宗教の型にはめられることに、しばしば生きづらさを感じるようだ(→関連記事へ)。入信は自分の意思ではなく、信仰を継承する意欲も薄い。

指導者の世代交代も難航している。生長の家やパーフェクト リバティー(PL)教団でお家騒動が起こったのに加え、最近では6月、世界救世教内で教主追放を求める内紛が勃発した。

付与された特権を経済活動に生かす

それでも、宗教法人は侮れない力を依然として持つ。税制優遇という強力な“特権”が付与されているほか、財務諸表などの情報開示が求められないこともある。富の蓄積を容易にするその力をテコに、巨大施設の建設、美術品の購入、政治活動を行ってきた。

奈良県天理市に教育や医療などの社会インフラを軒並み提供する天理教や、おひざ元の東京都立川市で地域経済支援を積極化する真如苑のように、その力を社会に還元しようとする教団もある。一方で強大な力は悪用もされる。かつて霊感商法が社会問題化したように、高額なお布施を信者に命じれば短期間で巨大な富を形成できる。税逃れを狙った休眠宗教法人の売買も活発化している。

逆風下でも強い宗教界のパワー。その内幕を伝える。

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