もりた・ちょうたろう●慶応義塾大学経済学部卒業。日興リサーチセンター、日興ソロモン・スミス・バーニー証券、ドイツ証券、バークレイズ証券を経て2013年8月から現職。日本国債市場での経験は通算で20年超。グローバルな経済、財政政策の分析などマクロ的アプローチに特色。(撮影:大澤 誠)

日本銀行の金融政策がわかりにくいという声は、2016年9月のイールドカーブ・コントロール政策(YCC)の導入以降に聞かれるようになった。先月末に日銀が決定した「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」でその声は一層大きくなったようだ。

「なぜ物価見通しを下方修正しておきながら、長期金利の上昇を容認するような政策の調整を行うのか」という疑問の声は多い。YCCも「金融緩和強化のための新しい枠組み」と銘打った政策であったが、実際には、その直前に30年債金利までほぼゼロ%に低下していたイールドカーブ(横軸に債券の残存期間、縦軸にその利回りをとってつないだグラフ)全体の水準を引き上げる目的で行われた。

YCCと今回の政策調整は、金融緩和の「副作用」を軽減するという意味では一貫している。主に10年を超える超長期債での運用を行う生命保険、年金などの経営への配慮からYCCは導入された。だが、10年債がほぼゼロ%にとどまる状況では、銀行の経営が長期的に悪化する懸念があるため、今回の政策修正に至ったわけである。