8月9日午後、30人以上の報道陣が詰めかける中、東京・銀座にあるヤマトホームコンビニエンス本社に国土交通省の職員6人が立ち入り検査に入った。法人向け引っ越し料金の過大請求について調べるためだ。安全面を指導・監督する国交省が顧客との取引に関する調査に乗り出す事態は極めて異例といえる。

2016年5月以降の2年2カ月間だけで、受注した法人の約8割に当たる2640社に計約17億円を過大請求していた。親会社ヤマトホールディングス(HD)の山内雅喜社長は記者会見で、「見積もり時よりも家財量が減るなどしたにもかかわらず、差額を精算しなかったため」と理由を説明した。

記者会見の中で山内社長は「組織として指示したことはない」とも主張した。だが、過大請求は全国128事業所のうち123事業所。「見積もり自体が過大だった。それを会社は黙認していた」とする元支店長の告発もある。

この問題が起きたのは、グループ中核のヤマト運輸が宅配便の受け入れ量を抑制する施策(総量抑制)と法人向け運賃の引き上げを進めているさなかだ。両施策は多くの荷主を巻き込み「ヤマトショック」といわれたが、そのおかげでヤマトHDの業績はV字回復の軌道を描く。

宅配便1個当たりの平均単価はこの1年で2割近く上昇。デリバリー事業の18年度の営業利益は430億円にまで一気に回復する見通しだ。HD全体では前年度比7割増の610億円、19年度には過去最高益を計画する。

労働時間改善の一方 現場から困惑の声も