日本郵便の宅配便は前年度比約2割増のハイペースで拡大が続く(撮影:尾形文繁)

宅配便市場で急速に存在感を増しているのが日本郵便だ。ヤマト運輸が荷受量の制限を本格化させた2017年秋以降、シェア3位の日本郵便に配送を切り替える荷主が急増。「ゆうパック」を中心とする宅配便の取扱個数は17年度に前年度比で25.6%も伸び、過去最多の8.75億個を記録した。18年度も前年度比2割増のペースで取扱個数が推移している。

業界2位の佐川急便は「現状の配達能力が目いっぱい」(SGホールディングスの町田公志社長)で、17年度の取扱個数は12億個超とほぼ前年度並みだった。ヤマトからあふれた荷物がすべて日本郵便に流れているわけではないが、一定の「受け皿」となったことは会社側も否定しない。「宙に浮いた荷物は誰かが引き受けなければいけない。われわれは社会的使命を背負っている」と同社の横山邦男社長は語気を強める。

とはいえ、2割ものハイペースで荷物の増加が続く状況はこれまでに経験したことがない。昨年12月には荷物を都市別に仕分けする東京と大阪の地域区分局で、計約1万3500個の荷物の仕分けが間に合わず、最大で半日程度の遅配が発生した。12月は通常の月より荷物が5割も増える最繁忙期。日本郵便はアルバイトや人材派遣会社も使って増員していたが、混乱を完全に防ぐことはできなかった。ただ、目立った混乱がほかになかった点は評価できる。

宅配便重視の裏に郵便物減少への危機感

日本郵便は今年5月、新しい中期経営計画を発表。宅配便取扱個数の目標として20年度に10.5億個、24~27年度に15億個程度(17年度比7割増)という意欲的な目標を掲げた。

宅配便事業の拡大に邁進する背景には、祖業である郵便事業の落ち込みに対する強い危機感がある。電子メールに押され、郵便物の数量は過去10年減少が続く。郵便・物流事業の営業収益は郵便と宅配便を含めた荷物に二分されるが、郵便は今後も減少が見込まれる。荷物の伸びでその穴埋めをする算段だ。