物流危機の構図を読み解くうえで欠かせない企業が、日本市場で1.3兆円(2017年度)の売上高があるアマゾンジャパンだ。荷物の年間出荷個数は5億個といわれ、これはヤマト運輸が取り扱う宅急便全体の3割近くに相当する。

増え続ける荷物に対応するためアマゾンはここ数年、地域限定の配送会社「デリバリープロバイダ」を積極的に使い、新たな物流網を築こうとしている。

年初にヤマトからの大幅値上げ要求をのんだ中、この先アマゾンは配送会社とどんな関係を築いていくのか。「ヤマトショック」発生後初めて、物流部門のトップがその口を開いた。

かづま・あきひろ/慶応義塾大学法学部卒。1988年、日産自動車入社。日米におけるSCM輸送、物流改革、経営企画に従事。2006年にアマゾン入社。10年からSCM輸送統括事業本部長、16年から現職(撮影:梅谷秀司)

──通販各社は配送会社から荷物量の抑制や配送料の値上げを迫られています。アマゾンとしては、配送の新しい担い手であるデリバリープロバイダとの取引を増やす方針ですか。

比率は答えられないが、事業自体が成長しているので、絶対的ボリュームで見ればデリバリープロバイダの取り扱いは増えている。

ただ配送会社とのパートナーシップについては、「どこだとダメ」とか「どこじゃないとダメ」とか、そこに何かの制限を設ける必要性は感じていない。われわれと一緒に最終消費者のことを日々考えてくれる配送会社なら、どんなところとでも付き合いたい。

──事業の採算を考えると、ヤマト以外の配送会社で物流網を作ったほうがいいようにも見えます。

われわれの意思決定の軸はカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)。なので、コストカットを出発点として戦略を発想することは、基本的に行っていない。物流業界が転期を迎えている中で、アマゾンとしてどう答えを出すのか。その一つがデリバリープロバイダを使うことだった。既存の事業者がいい、悪いという話ではない。