有料会員限定

井上ひさし氏に学ぶ日本語の技法(5) 日本語に近い言語は表現力強化に役立つ

✎ 1〜 ✎ 170 ✎ 171 ✎ 172 ✎ 最新
拡大
縮小

井上ひさし氏は、日本語をより深く習得するためには、日本語に似た言語に関心を広げることが重要であると述べる。

〈私たちは眼ですべてのものを見ています。けれども自分の眼だけは見ることができません。同じように、日本語で日本語を考えることも至難の業(わざ)のようです。自分のことを自分で考えるということは大変むずかしくて、これはイギリス人のバートランド・ラッセルという人が体系づけをしているくらいです。自分が属しているものを属している自分は見ることはできない、つまり日本語のことを日本語で考えても正確にはわからないということになります。

そこで学者たちはまず、日本語とよく似た構造の言葉を見つけだして、その言葉を徹底的に勉強しました。自分が属している言葉ではないので、徹底的に分析も観察もできるわけですね。その上で、その言葉の文法をきっちり整理し、次に日本語との共通点を探すことによって、逆に日本語の文法とはこういうものだということがわかるだろう──学者たちはそういうふうに考えました。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内