週刊東洋経済 2018年8/11-18合併号
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名門校 すごい卒業生人脈

「開成会」がつなぐ最強人脈 灘「担任団は誰や」で親密に

約580億円分の仮想通貨「NEM(ネム)」を流出させ、経営危機に陥った仮想通貨交換業者コインチェック。その再編劇の裏側では「開成」人脈が動いていた。

コインチェックを36億円で買収したのは、開成中学・高校出身の松本大が率いるマネックスグループだ。そして買収後にコインチェックに社長として送られた、常務の勝屋敏彦も開成出身だ。

「僕が高1のときに彼は中2だった。数カ月入っていた部活の後輩。当時は落ち着きのないやつだったね」と松本は当時を振り返る。二人とも開成、東大を経て金融業界に入り、マネーの最前線で活躍している。

JR山手線の西日暮里駅近くにある開成。校門からは「ペンと剣」の校章が見える。元首相の高橋是清が初代の校長を務め、礎を築いた

開成はOB同士の結束が固いことで知られている。代表的なのが「金融開成会」だ。

金融業界で働く開成人をつなげようと、松本が発起人の一人となり2009年に1回目の総会を開いた。発足時の会長には元財務事務次官の武藤敏郎が就き、東京海上ホールディングス常務(当時)の岡田伸一郎、みずほコーポレート銀行副頭取(同)の本山博史などが副会長に就いた。

直近の総会には、金融界で働く500人のOBが参加。日本銀行、メガバンク、投資銀行、証券、保険など、金融村における開成人脈の広がりを見せつける場となっている。

もちろん開成のネットワークは金融だけではない。岸田文雄自民党政調会長を中心とした国会議員や官僚が集まる「永霞会(永田町・霞が関開成会)」、ベンチャー企業の経営者が集まる「ベンチャー開成会」、グローバルに活躍する人材を支援する「グローバル開成会」、各科の医師から成る開成会など、ありとあらゆる企業、業界、職業で年齢の枠を超えたOBが交流を深めている。米国ボストンには、東海岸を拠点に活躍する研究者などが集う「ボストン開成会」まであるほどだ。

新しい会の立ち上げや集まりはフェイスブックを通じて告知、興味のある開成OBが集まる。「同じ高校で学んだ開成生には『悪いやつはいない』という安心感がある」と、就職支援会社、スローガン社長の伊藤豊は言う。

「返事はオーだ!」開成人脈を作る儀式

なぜ開成OBは結束が固いのか。それは開成生なら避けては通れない、“共通体験”があるからだ。

「返事は『オー』だろ!」

松本はいまだにこの一言が忘れられない。「中学へ入ったばかりのときだった。高校3年生が突然、教室に入ってきて『運動会の練習を始める』という。『はい』って返事をしたら怒鳴られた」。

開成の運動会は毎年、高3が中心となり運営する。開催は5月。運動会が終わると高2は、翌年に向けて1年間準備をする。八つのクラス別に、中1から高3までが縦割りの八つのチームに分かれて競う。中でも高2と高3の競技、棒倒しは激しいことで有名だ。

ベンチャーキャピタル、エス・アイ・ピー社長の齋藤茂樹は「棒倒しでいかに勝つか、戦略を考えた当時のノートをいまだに持っている」と話す。当時の映像も保有しており、同窓会では運動会の映像を流して皆で語り合う。「約40年経った今も、『あのときこうすれば勝てた』といった反省会が続いている」と笑う。

コンサルティング会社で働くOBも、「年が離れていても運動会の話で盛り上がれる。むしろ運動会の話しかしない(笑)」というほど、運動会がOB同士の濃いつながりを生んでいる。

校舎は国の登録有形文化財に指定

東の開成と対比され、東大や国公立大医学部への合格者数で競うのが西の灘だ。

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