日本の造船業が苦境にある。韓国政府が政府系金融機関を通じ、経営破綻寸前の大宇造船海洋に数兆円を注入。大宇が採算を度外視した船価で大量受注をした余波で、日本の大手造船会社は軒並み赤字に転落した。日本政府は、韓国が不当な補助金を自国の造船会社に支給しているとし、WTO(世界貿易機関)へ提訴する構えを見せている。日本造船工業会の加藤泰彦会長に聞いた。

かとう・やすひこ●1947年生まれ。早大大学院機械工学修了、三井造船(現三井E&Sホールディングス)入社。社長、会長を経て17年から相談役、日本造船工業会会長。(撮影:尾形文繁)

──日本政府がWTO提訴の手続き開始を検討しています。

韓国政府による不公正な助成は直ちにやめてもらうべきだ。WTO提訴は正しい動きだと思うので、日本造船工業会としても協力していきたい。ただ、公的助成を防止する手段はWTO提訴だけでもない。公的助成の防止はOECD(経済協力開発機構)の造船部会でも今年5月に議論されている。法的拘束力のある国際規律の策定を目指すこと、OECDに加盟していない中国にも国際規律の策定に参加するよう呼びかけることが正式に決まっている。

──大宇への韓国政府の金融支援の問題点は何でしょうか。

韓国の政府系金融機関は、巨額の融資のみならず、造船所が破綻した際に前払金の返還保証までしている。民間の銀行にできないような保証を政府系の金融機関が行うのは不公正だ。造船の供給能力が世界的に余剰な中、供給能力の削減が大事。本来ならば破綻してもいいような造船所が政府の補助金で生き延びるのは健全ではない。