混迷を極めた財務省トップ人事。背景には首相官邸と財務省の思惑の違いも(撮影:梅谷秀司)

財務省事務次官と国税庁長官が約3カ月も不在という、戦後初の異常事態が続いた財務省のトップ人事が、ようやく決着した。

本命視されていた岡本薫明(しげあき)主計局長(1983年旧大蔵省入省)が財務次官、国税庁長官には藤井健志(たけし)同次長(85年)が昇格する。

ほかの主要幹部人事は次のとおり。主計局長には太田充理財局長(83年)、理財局長に可部哲生官房総括審議官(85年)、官房総括審議官には茶谷(ちゃたに)栄治主計局筆頭次長(86年)が就く。浅川雅嗣財務官(81年)、星野次彦主税局長(83年)、武内良樹(よしき)国際局長(同)、矢野康治(こうじ)大臣官房長(85年)は留任する。

事の発端は、3月に朝日新聞のスクープによって発覚した学校法人森友学園への国有地払い下げに関する決裁文書改ざん問題だった。

この事件に深く関与した佐川宣寿(のぶひさ)前国税庁長官(82年)に続き、セクハラ疑惑で辞任を余儀なくされた福田淳一前事務次官(同)も同省を去った。

福田次官の後任人事をめぐる迷走劇は、今の財務省が置かれた立場を象徴的に物語る。

同省の人事は、極論すると、10年先まで考え抜かれた非常に緻密なシステムであり、そこに政治の介入を決して許さないことが霞が関の「最強官庁」たるゆえんでもあった。だが、現在の財務省は自らトップを決める力を完全に失っている。「人事がすべて」の官僚社会において、致命的な状況である。