人生の最期が近づいてきたとき、延命治療を選ぶのか否か──。

そのことについて事前に話し合っておらず、親が意思表示できる状態になければ、判断は家族に委ねられる。

本誌のメールマガジンアンケートで、親の看取りを経験した人たちの回答を見てみると、「延命治療を望まないとの意思確認をしていたので、それに沿うような医療機関で対応した」(50代・男性)という人は少数派だ。「『特別な延命治療を希望するか』と医者に聞かれたが、返答に迷った」(60代・男性)、「親の延命治療について、家族間の意思調整で悩んだ」(50代・男性)といった回答が多かった。

よくわからないのですべて医師に任せる、というのはよくない。本人も家族も、自己決定を行う判断材料として一定の知識を持っておくことが重要になる。

「延命治療」とは、病気の治る見込みがなく、最期が迫ってきたときに行う医療処置のこと。さまざまな治療法がある中、「3大延命治療」とされているのが、人工栄養・人工呼吸・人工透析である。ここでは、その治療方法について個別に解説していく。

1.人工栄養

高齢になると脳卒中や認知症、加齢により、口から食べたり飲んだりする機能が衰えていくことがある。そうした中、生命維持の選択肢となるのが人工栄養である。

従来、一般的とされてきたのが「経鼻経管栄養法」で、鼻から食道を通して胃まで細いチューブを入れ、これを通じて水分や流動食を補給する。手術の必要はないが、つねにチューブを通した状態となるため、本人の意識が低下しているときなどに、鼻やのどへの不快感からチューブを引き抜いてしまうこともある。