「十分です。あなたたちは十分な知識と技術を持っています。私から教えることはもうありません」

創設間もない特殊部隊のわれわれに、レンジャー技術のすべてを教えてくれた陸上自衛官がそう言った。彼は通常のレンジャー教育以降も、実践的な技術を徹底的に教えてくれた。そこまでしてくれたのは、レンジャー教育を終えた直後の私の発言が原因だった。

「これっぽっちのことを教えるのに3カ月もかけて、効率が悪すぎるよ。簡単なことを難しく説明して、頑張った体験をさせているだけでしょ。われわれが必要としているのはこの上のレベルだよ。教わったレベルじゃ、実戦闘では使いようがない」

教わる立場にもかかわらず、私はたいへん生意気な口を利いた。だが、彼は気分を害するわけでもなく、その後も面倒を見てくれた。そして、「教えることはもうありません」と言ったのだった。