(イラスト:ソリマチアキラ)

「ジャック・ニクラウスと青木功のバルタスロールの闘い」……古いゴルフファンの方は耳にしたことがあると思いますが。その試合は、初日ジャックと同じ組で回り、その緊迫は4日間も継続、勝負は最終ホールまでもつれ込んだんです。勝ったのは先にバーディーを取ったジャックですが、18番ホールのグリーン上にはまだ私のパットが残っていたんですね。といったことは関係なしに、ギャラリーはジャックの優勝に大喜び、グリーンに上がってきそうな興奮ぶりです。そんなギャラリーに対してジャックは腕を大きく広げて「まだ、イサオのパットがあるんだ」と、場を静めてくれたんですね。日本で中継を見ていた人たちに大きな感動を与えたようでした。

それは1980年のことなんですが、その頃この全米オープンを中継していたのはNHKだったんです。番組を担当していた羽佐間アナウンサーに聞いた話ですが、いつも朝の早い全米オープンの中継時間帯は、ニュースや天気予報を中心にテレビを見たい方が多かったようで、そこへゴルフ中継が割って入ると違和感を持つ方もいたようです。しかし、バルタスロールの全米オープン放送後、「ゴルフ中継もいいもんだ」とのお電話を数多くもらったそうです。普段、ゴルフと接しない方も、難コースに男たちが挑んでいる姿を見ると何か心打つものを感じていただけたようです。