週刊東洋経済 2018年7/28号
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インバウンドで需要爆発の東京 空前のホテル開業狂騒曲

日本有数の商業集積地である東京・銀座周辺で、空前のホテル開業ラッシュが巻き起こっている。今年1月、一等地の並木通り沿いに、オリックスが誘致した米ハイアットホテルズ系列の「ハイアット セントリック 銀座 東京」が開業した。2月には大手旅行会社、エイチ・アイ・エスの「変なホテル東京 銀座」がオープン。年末には不動産大手のヒューリックが手掛ける「ザ・ゲートホテル東京」の開業が控えるほか、来年以降の計画も目白押しになっている。

今年1月に開業した「ハイアット セントリック 銀座 東京」(撮影:尾形文繁)

開業ラッシュの背景にあるのは、訪日外国人客(インバウンド)の急増だ。2017年は2869万人と過去最多を更新。東京の外国人延べ宿泊者数は約1900万人泊と5年で2倍になり、ビジネスホテルやシティホテルの客室稼働率は80%超と高水準だ。

また東京都の調査によれば、東京に来た外国人観光客の約半数が銀座を訪れている。その宿泊需要を取り込もうと、多くの企業が雪崩を打って開業しているのだ。

銀座以外でもホテル開発が加速

「以前はホテルよりもオフィスの賃料のほうが高かった。だが観光客が増え、ホテルのほうが高い賃料を取れる場所も出てきた。ゲートホテル東京も当初は上層部をオフィス、下層部を商業施設にして賃貸する王道の形を考えていたが、(自社で運営する)ホテルで挑戦してみようとなった」

ヒューリックの宇野加寿子・観光ビジネス開発部参事役はそう明かす。

ホテルラッシュは銀座だけにとどまらない。不動産サービス大手のCBREによると、東京のホテル客室数は16年末で約9.6万室に上り、17~20年の4年間でさらに約2.9万室増える見通しだ。観光地や空港へのアクセスがよい立地を中心に開発が進む。

大手デベロッパーの野村不動産は今秋、JR上野駅から徒歩5分の所に「ノーガホテル上野」を開業する。客室数は130で宴会場などはなく、宿泊に特化している。平均客室単価(ADR)は2万~3万円程度になる見込みだ。

実は野村不動産がホテルを自社で手掛けるのはこの案件が初めて。なぜ今になって参入するのか。

「デベロッパーとして街づくりに力を入れており、その起点としてホテルに注目した。ホテルを持っていれば、オフィスや商業施設などと組み合わせて展開することもできる。かつてホテルはそれほど儲かるビジネスではなかったが、今は成長市場になっており、そこに基盤を作りたい」

野村不動産ホテルズの塚崎敏英社長はそう話す。ノーガホテルでは地域の職人やデザイナーと連携した独自の家具や備品などを置いたり、地域の文化や歴史を体験できるサービスを提供したりして、観光客の呼び込みを図る。

ホテル市場が拡大する中で、野村不動産のような新規参入組も続々と登場している。渋谷では昨年5月に結婚式場運営のテイクアンドギヴ・ニーズが「TRUNK (HOTEL)」を、今年2月にはアパレル大手のストライプインターナショナルが「hotel koé tokyo(ホテル コエ トーキョー)」を開業。無印良品を展開する良品計画も来春、銀座で「MUJI HOTEL」の開業を予定するなど、異業種の参入も目立つ(→関連記事へ)。目下、ホテルが“爆増中”なのだ。

増えているのは宿泊特化型が大半

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