大陽日酸は海外でM&Aを推進。写真は米国事業を担うマチソン・トライガスの製造拠点

“超”のつく大型M&Aだ。三菱ケミカルホールディングス傘下で産業ガスを手掛ける大陽日酸が、世界3位の米プラクスエアから欧州事業を買収する。買収金額は50億ユーロ(約6500億円)に上り、日本の化学会社による海外M&Aでは過去最大となる。

プラクスエアは世界2位の独リンデと合併に合意しており、独占禁止法審査をクリアするため、欧州事業の大半を手放す。その入札が6月に行われ、大陽日酸が権利を獲得した。今年11月に事業を取得し、念願だった欧州産業ガス市場への進出を果たす。

取得するのはドイツ、スペイン、イタリアなど13カ国での事業。各地にある製造設備の空気分離装置(空気から酸素、窒素、アルゴンを取り出す装置)など関連資産を買い取り、顧客との契約や従業員も引き継ぐ。

欧州進出の大チャンス

工業製品の製造工程ではさまざまなガスが使われる。製鉄には酸素、半導体製造や食品の酸化防止には窒素、自動車などの薄板溶接ではアルゴンが欠かせない。こうした製造用途のガスは産業ガスと呼ばれ、国内では大陽日酸が4割のシェアを握る最大手だ。

しかし、製造業の海外移転が進み、国内市場は頭打ちとなって久しい。そこで同社は最大市場の米国を中心に現地の同業や販売会社を次々に買収し、海外で産業ガス事業を拡大。過去15年間で約3000億円を買収に投じ、海外売上高(昨年度2757億円)は全ガス事業の45%を占めるまでになった。