米投資家ジム・ロジャーズは、「今、最も有望な投資先は北朝鮮だ」とアピールする。地下資源は豊富、国民は手先が器用で、しかも労働コストは格安。数年以内に北朝鮮は韓国と統一され飛躍的な経済発展を遂げるというストーリーである。きっと、トランプ米大統領が語った話も同じようなものだったろう。ポンペオ米国務長官も、北朝鮮が非核化すれば世界と交流できる「普通の国」になると秋波を送っていた。

確かに、ほんの数カ月前まで北朝鮮の未来をこんなふうに語る人は誰もいなかった。おそらく、6月12日の米朝首脳会談を前に、トランプ氏は北朝鮮が経済発展する夢を思いつき、金正恩(キムジョンウン)委員長に話した。以下は筆者の想像であるが、大筋は間違っていないと思う。

「万事、私に任せて、あなたは完全に非核化する約束を守ってくれればよい」。最初は黙って聞いていた金氏はしばらくしてうなずき、やがて相づちを打つようにさえなった。それを見てトランプ氏は「金正恩は俺の思っていたとおり、賢いやつだ」と目を細めた。金氏は体制保証や中国との関係のことをトランプ氏に尋ねた。すると、トランプ氏は、「絶対に悪いようにはしない。信じてほしい」。